事実婚を選択した女性漫画家が伝える「慣習に縛られない」私らしい結婚の形

Social Post編集部 2019/10/24

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夫が生計を支え、妻が家事育児を担う―

 

そんな昔ながらの結婚観とは少し違う、「新しい結婚観」を発信している女性漫画家がいます。

 

水谷さるころさん。「法律婚」と「事実婚」の両方を経験した水谷さんは、自身の経験をもとに結婚をテーマにしたコミックエッセイを出版されています。そんな水谷さんはどのような結婚観を持っているのか、話を聞きました。

 

―まずは「法律婚」をされた時のお話を聞かせてください。水谷さんは30歳で一度法律婚を選択し、結婚されています。当時はなぜ法律婚を選択されたのでしょうか?

 

水谷:1つはちゃんとした大人になりたいという気持ちが強かったことがあると思います。それでなんとなく「早く結婚しなきゃ」という気持ちが強かったんです。

また結婚に対してもふんわりとしたイメージしかなくて、結婚さえすれば幸せな、温かい家族を築いていけるんだろうと安易に考えていました。

 

―実際はそうではなかったのでしょうか?

 

水谷:結婚をする前に考えていなかったようなことがたくさん起きました。例えば仕事の面、結婚をして名字を変えると「夫に養ってもらっているんでしょ」という扱いを受けることが多々ありました。

 

実際ギャラの値引き交渉をされたこともあります。「結婚したんだからお金に困ってませんよね? 旦那さんに養ってもらうんだからいいでしょう」と。

 

―そんなことあるんですか!?

 

水谷:はい。また仕事の飲み会への誘いなども減りました。誘われたら誘われたで、「旦那さんは大丈夫なの?」というような声をかけられました。

 

結婚をしたことで、「結婚=妻は仕事をせず、悠々自適な暮らしを送っている」というような結婚観を持っている人が一定の割合でいて。その価値観を勝手に私に投影するんですね。

 

結婚に対する考え方、価値観は本来多種多様なはずなのですが、「男が働き、女は家庭に入る」「名字は男性側に合わせる」みたいな慣習がまだ少なからず残っているんです。

 

私の場合は結婚をしても自分の仕事やめるなんて選択肢はなかったのですが、結婚をすることへの世間からの見られ方を全然わかっていませんでした。もっと「結婚してもずっと仕事を続けていきます」アピールをしないといけなかったんだと後悔したんですよ。

 

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―私生活の方はどうだったんでしょうか?

 

水谷:もともと結婚した時は、結婚したいという気持ちが私と元パートナーで7:3くらいだったんですね。向こうも結婚したくないわけではなかったけど、「共働きで、家事も全部私がやるから大丈夫!」と宣言して押し切る形で結婚したんです。

 

それまでもずっと、家で仕事と家事をしていたので、一人分増えるくらいどうってことないと思っていました。でも彼にとっては「家事はやってもらって当たり前」で。かといって「私がやるから」と言ってしまった以上家事も仕事も、自分だけが頑張らないといけない関係性に疲れてしまいました。

 

―そして離婚をされたわけですね。その後今度は「事実婚」をされたわけですが、どういう経緯があったのでしょうか?

 

水谷:元々一人での生活は嫌だったので、再婚に対してのモチベーションはありました。ですが次結婚するときは自分が一番快適な生活が送れるように、考えて行動していかないといけないと思ったんです。

 

―法律婚の経験を経て、まず自分が一番快適である姿を求められたわけですね。さるころさんにとって「一番快適な生活」とはどんな生活だったのでしょうか?

 

まず仕事に関しては結婚にかかわらずやっていきたいというのは必須で。また「自他の区別をはっきりしたい」という気持ちにも気付きました。

 

―「自他の区別をはっきりしたい」ですか?

 

水谷:結婚をすると夫婦2人でセットという感覚を持つ人もいると思います。夫が仕事で出世をすると、妻も同じように地位が上がったかのような感覚です。わかりやすく説明するために言うと、いわゆるドラマとかで出てくる「権力者の妻」みたいな感じです。前の夫とはそういう関係じゃないと思っていたけど、意外と「自他の区別」が曖昧になることがあってストレスがありました。私はあくまで一人の人間として自立をしたいというきもちが強かったんです。

 

―なるほど…それで事実婚を選択されたのはなぜでしょうか?

 

水谷:日本の場合、夫婦別姓も認められていないので結婚すると自ずとどちらかが名字を変える必要があります。であれば仕事面も、自他の区別をはっきりさせるという面からみても法律婚は適していない。

 

また結婚をしたときに、法律で契約された関係なんだから「一生他に選択肢はないんだ」と自分を追い詰めてしまったという経験もあったので、自分には法律婚は向いていないと思ったんです。

 

―今のパートナーさんは事実婚に賛成だったのでしょうか?

 

水谷:そうですね。実は現在一緒に暮らしているパートナーも一度離婚を経験しています。彼も「男は家族を養っていかなければいけない」みたいな価値観はイヤだと感じていて、一緒に暮らすなら事実婚をしようとすんなりと決まりました。

 

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―そういった背景があって事実婚を選択されたんですね。今水谷さんは結婚に対してどのような考えを持たれていますか?

 

水谷:「結婚」よりもどんな暮らしが送りたいかを考えることが大切だと考えています。いわゆる「昔ながらの結婚観」を持っている人は、自分がそういう暮らしがしたければ、それでいいですよね。

 

ただもし女性であれば「結婚をしても仕事をしていきたい」とか、男性であれば「自分だけが家計を担うのは違う」とか、そういった暮らしを求める人は法律婚が適しているのか、改めてちゃんと考えてもいいと思うんです。

 

―すごく納得がいきました。ただなかなか事前にどんな結婚が適しているのかを考えるって難しいことですよね。実際事実婚を選択肢に入れる人はとても少ないような気がします。

 

水谷:そうですね。例えば婚活パーティーが流行るように「結婚」を求める人はとても多いですが、どんな暮らしをすれば快適なのかを考える人はあまりいないと思います。だからこそ情報発信をしていかないといけないと思うようになりました。

 

―結婚をする人たちに考えるキッカケを与えたいということですね。

 

水谷:結婚する前に教えてあげたいという感覚ですね。私の結婚、離婚、事実婚までを描いた「結婚さえできればいいと思っていたけど(幻冬舎刊)」という本は、アラサーの頃の自分に読ませたいと思って描きました。私が経験した10年前と会の結婚観はあまり変わっていないと思っています。30歳くらいになったら結婚に焦って、婚活をしてみたいな。結婚するのは良いけど、結婚をしてどんな暮らしを送りたいのか、私の失敗を通して考えてもらえたらいいなと思って発信をしています。

 

―結婚前に自分たちに適した結婚の形を考える人は少ないと思うので、社会的にも意義のある発信だと感じました。まもなく新しい本を出版されるとお聞きしましたが、新作はどういった内容を書かれているのでしょうか?

 

水谷:『アラサーバツイチ女が魔性の猫の愛人になって愛され方を教わるまで』というタイトルの実話をもとにしたコミックエッセイです。離婚をして一人暮らしをし始めた時に、マンションに通い猫が来るようになりまして。その猫から気付かされたエピソードをまとめています。

 

―「猫から教わったこと」ですか!例えばどんな?

 

水谷:その猫はかなりの甘え上手で、毎日たくさんお願いをしてくるんです。そしてそれに応えてあげるとめちゃくちゃ喜ぶような魔性の猫で。(笑) 私自身は猫好きではないのですが、めちゃくちゃ甘え上手で、だんだん夢中になっていったんです。

 

ある日、この猫は別に私の役に立っていないのに私はこの猫が好きだと思いました。だけどそしたら、なぜ結婚生活のときはそう思えなかったんだろうと。別にこの猫は稼ぎがあるわけでも、家事をするわけでもない。だけど甘えてきて、お願いをして、応えてあげるとすごく喜んでくれます。「お願いして、答えてくれたら喜ぶ」という行為そのものにすごく価値があることに、猫と触れ合うなかで気づきました。

 

―結婚生活ではその視点がなかったということでしょうか?

 

水谷:そうです。結婚生活を振り返ったときに私はそれを相手にやってなかったんです。日本社会は「みんなの役に立ちましょう、そうじゃないとあなたは価値がない人間ですよ」みたいな空気感があると思うんです。特に女性は「男性に尽くさないといけない」というような刷り込みが強くされています。実際私も法律婚をした時に、夫にすごく尽くしていたんですね。

 

どう夫の役に立てるかばかりを考えていましたが、猫は自分に価値があるとかないとか考えていません。要望がそこにあるだけです。そしてお願いを聞いてもらった時に、全力で喜ぶ。そんな猫と過ごしていると愛されるためには「お願いする」ことが大切だと気付いたんです。

 

―愛されるためには尽くすばかりでなく、相手にお願いをすることも大切だということですね。

 

水谷:そうですね。ここで大切なのはあくまでも「お願い」であって、「命令」ではないということです。夫婦間でお願いをするときってどうしても正当性を主張してしまいがちです。正しいからあなたにこれを要望できるんだというコミュニケーションになってしまうんですね。「わかるでしょ?」「何でやんないの?」といった感じで。それって、すごくネガティブなコミュニケーションですよね。ずっとそれをやると愛情がすり減ると感じました。なので、わかりやすくお願いをすることもポイントです。

 

ちなみに今の家庭では魔性猫の教えから「可愛くお願いする」というルールがあります。(笑)純粋な要望であれば、「ありがとう」が返ってきますが、正当性からくる要望であれば、やって当たり前なので「ありがとう」もない。純粋なお願いだよということをわかりやすくするためにも、可愛くお願いする訓練が必要だと思います。

 

そういったような猫から教えてもらった「愛され方」に関する気づきのエピソードを一冊にまとめました。

 

―ぜひ他のエピソードもエッセイで読ませいただきたいと思います。本日はありがとうございました!

 

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水谷さるころさん

 

イラストレーター/マンガ家

1976年千葉県生まれ。女子美術短期大学卒業。1999年マンガ家デビュー。2008年、CS旅チャンネルの番組「行くぞ! 30日間世界一周」に出演、その道中の顛末を『30日間世界一周!(イースト・プレス刊)』(全3巻)としてマンガ化。30歳で初婚、33歳で離婚、36歳で再婚(事実婚)し38歳で出産。現在は1児の母。2016年に自身の結婚にまつわる体験を『結婚さえできればいいと思っていたけど(幻冬舎刊)』として出版。以降『目指せ! 夫婦ツーオペ育児 ふたりで親になるわけで(新潮社刊)』『どんどん仲良くなる夫婦は、家事をうまく分担している(幻冬舎刊)』など結婚にまつわる著作がある。趣味の空手は弐段。古墳好き。

 

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『アラサーバツイチ女が魔性の猫の愛人になって愛され方を教わるまで』

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このTrue colors festival. パフォーマンスをたんに鑑賞するだけでなく、参加を通して気づくことに主眼を置いているとのこと。 実施内容として、運営に関わったり、講義に参加したり、はたまたダンスバトルがあったりと、聞いていてなんだか楽しそうな予感がする。乙武さんも書かれているように、これまで見えにくかったものを可視化するというのとはまた別の、一緒にやってしまう、ここにごちゃ混ぜ感の期待感が湧く。と書いていて完全には想像できていないもののとても楽しみになってきました。もうすでに始まっているのかな? ぜひ行ってみたい!

増える女性向け風俗、男性セラピストに依存してしまう利用客も

ハーバービジネスオンライン 2019/09/10

7コメント

これが商売になって依存度が増してしまう女性がいるのなら、一重に世の男性が自分の相手の女性に対してホスタビリティが足りひんのやないかい?と思う。女性風俗でも本番(名目上)はないのだから、であれば男性は女性が何で満足するかも知らない事が多いのでは?あとは男性の満足と女性の満足は違うのではないかとすら気付いてない男が多いのかも?と感じる。でも、お金で切れる関係に楽さを感じられる女性が増えてきてるなら、安くないからウーマンパワーGO!なんてのも思っちゃう。仕事でやってるわけだから辞めるセラピストもいるし、推しが辞めた時に推しロスが大変そうだから依存はオススメしないけど。 女性専用風俗の男性セラピスト、基本3回目以降のリピートで最短コースの予約なんか駆け出しのペーペーしか取らないから…食事やお酒を飲みに行ったり3〜4時間添い寝で9時間くらいの予約は平気で取れるのが女性風俗の男性セラピストってもの。その料金一晩1人を相手して5万〜10万(諸経費別w) この一晩5万〜10万円を男性用風俗で稼ぐには女性はどれだけの事するんだろうね? 店舗の歩合はどうなってるか知らんけど。 自尊心保てるくらい金貰ってるのとか、自分を痛め付ける事のないチョロい仕事だと思えるかは男女によって違うと思う。 売春と言うのは古来からある商売で、まあそれの良し悪しはさて置こう。では、その性と言う商売に女性側が自身の為に幾らであれば売っても良いと言う値段はつけられた事があるのだろうか?男性が風俗で働いたとして、その料金設定は男性が納得できるものとして男性に設定されていないかは謎? と言う視点では、これは一概に平等かは、そうなのかね〜と感じてますけど…

記事にもあるように、雑誌やテレビの連日の振る舞いが、韓国と、韓国にルーツを持つ人達、特に在日コリアンへの差別や偏見を煽っていることに、強い危機感を持っています。かねてより差別やヘイトスピーチを躊躇わないことで知られるコメンテーターの言葉が公共の電波から全国へ流され、電車に乗れば中吊りに並ぶレイシャルハラスメントがひきもきらない。自分がどこにどのように生まれるか、選ぶことはできません。変えることの出来ない固有のアイデンティティや民族の記憶を持つ集団、この国で歴史的にも社会的にも被差別の立場に置かれてきたのが在日コリアンです。ほんの少しネット検索をすれば、彼らが彼らであるというだけでどれだけの悪意に晒されているのか分かります。東京や大阪、大都市を中心にほとんど毎週ヘイトデモも行われてきました。断韓というのは、そのヘイトデモにおいて何度も掲げられてきた文言です。それらの立法事実や、在日コリアンの持つ歴史的、社会的背景からヘイトスピーチ解消法が施行されたのにも関わらず、メディアが率先して、人々の安全を損なう方向へ舵を切っていることへ、憤りを感じます。特に徴用工問題において、これまでの日本政府の請求権に関する立場を変えたのは何故か、三権分立を守らないこと、被害者の人権が語られないことは何故なのか、そして韓国側のいまに至る視点、例えば米国の仲裁へ前向きであったこと、対話への努力を続けていたことなどが全く欠けた報道の数々が、過激で底の抜けた発言や表現を支えているのではないでしょうか。 三世、四世の被害者が増えていることに自覚を持つべきです。韓国内の運動は、日本政府へ向けたもので、その根底に植民地支配への無反省があります。歴史を変えることはできません。国をあげて加害の歴史を増やすことを止めるべきです。差別はいやだと、日韓連帯アクションで掲げられたプラカードの一枚にありました。そんなことをアピールしなければならない状況にあることに、もっと自覚を持つべきです。私は差別に反対です。そして、隣国に正しく向き合いたいです。